「歯が欠けています」
離婚してしばらくして行った、歯科健診でそう言われました。
これは、離婚1年目の私に起きた、小さいけれど忘れられない出来事の話です。
歯磨きは好きなのに、歯茎の状態が悪くなっていた
離婚手続き完了して2ヶ月経った秋に、定期健診で歯医者さんへ行きました。
歯磨きは好きなほうで、いつも「特に問題なし」で終わるのが定番。
いつもは変わりないと言われるのに、その日は、衛生士さんにこんなことを言われました。
「歯茎の状態が、ずいぶん悪くなっていますね。何かありました?」
「……ありました」
「差し支えない範囲で、何があったんですか?」
「離婚しました」
と、素直に答えました。
「ああっ!それは大変でしたね。抵抗力が弱ると歯茎も悪くなるんですよ。
よし、今日はきれいにお掃除してリセットしましょう!」

「噛みしめていました?」
ここまでは、まだ予想の範囲内でした。
でも次の一言は、予想外でした。
「奥歯の歯が、欠けています。……噛み締めていました?」
…確かに…その可能性がある。
離婚に向けての話し合いと交渉。終わりの見えない手続きの数々。住む家を探して、仕事を探して、セミナーに通って、パソコンの勉強をして。
怒涛の数か月を、歯を噛み締めて力を入れて過ごしていたはず。
気持ちでは「私、意外と大丈夫かも」と思っていました。
でも体は正直でした。歯茎は弱り、奥歯は欠けて、私が受けたダメージをちゃんと記録していたんです。
歯だけじゃありません。離婚できっと肌も老け込んだはず。
これからはお肌のお手入れも、ちゃんとしよう。そう思いました。
ちなみに:医療費の助成、このとき私はまだ使えませんでした
余談ですが、ひとり親家庭には医療費の一部を助成してくれる「ひとり親家庭等医療費支給制度」があります。
私もこの歯医者さんで使おうと受給証を探したのですが、家じゅう探しても見つからない。
離婚手続きのごたごたで失くしたのかと焦って役所に行ったら、こう言われました。
「受給証の発行は、児童扶養手当の認定が下りてからなんですよ」
なんだ、まだ発行されていなかっただけでした(笑)。
私の場合は、認定を待っている間に普通に支払った医療費も、後から申請すれば戻ってくるとのことで一安心。
領収書を捨てずに取っておいて本当によかったです。
このあたりの流れやタイミングはお住まいの自治体によって違うようなので、窓口で聞いてみるのが確実だと思います。
手続きだらけで疲れている時期だからこそ、使える助けは遠慮なく借りていいんだと、あのとき思いました。
離婚後、初めての冬がやってくる
その年の冬は、離婚後はじめての冬でした。
いつもの冬より心細くて、寒く感じるんだろうな、と身構えていたのを覚えています。
気持ちの整理は少しずつついてきたけれど、納得のいかない気持ちも、まだ残っていました。
それでも、ふと振り返って思ったんです。
この1年、よく耐えきった。
人生最大級のダメージを受けたのに、寝込むことなく、逃げ出すことなく、子どもたちとの毎日を回し続けた。
誰も褒めてくれないなら、自分で自分を褒めよう、と。
10年後の私から、あの頃の私へ
あれから10年。
あの頃、年収80万円だった私は、その後フルタイムの仕事に就き、少しずつ資産を作り、今では「働き方を選べる」ところまで来ました。
もし今、タイムマシンであの頃の私に会えるなら、アドバイスなんて何もいらないから、ただこう言ってあげたい。
「頑張ってるの、ちゃんと体が知ってるよ。よく耐えてるよ」って。
あの頃の私は、自分が疲れていることにすら気づく余裕がありませんでした。
だから、歯が欠けていたんだと思います。
もし今、あの頃の私と同じように歯を食いしばっている人がこれを読んでいたら。
何かを教えたいわけじゃなくて、ただ隣に座って、一緒に温かい紅茶を飲みたい気持ちです。
嵐の中にいるときは、この状態が一生続く気がしますよね。
私もそう思っていました。
でも乗り越えて10年経った今、あの頃は想像もできなかった景色の中にいます。
おわりに
離婚のダメージは、自分でも気づかないうちに体に出ていました。私の場合は、歯茎と奥歯に。
あのとき衛生士さんから言われた
「リセットしましょう!」
という一言に、私はずいぶん助けられました。
そして、ひとり親の医療費助成制度にも助けられました。
そして何より、「よく耐えきった」と自分を褒めたあの日が、私の再スタートの始まりだった気がします。

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